SS

■収容施設内 実験室

よし、全員揃ったね。
ってことで、今日はみんなに嬉しいお知らせがあります!
……嬉しいお知らせ?
つーか郁人、お前やけにテンション高くね?
……すっげーニコニコしてんな。
こんなに生き生きとしたいっくん、久しぶりだね。
いっくん、なになに!?はやく教えてよ!
ふふ。あのね……なんと!
今日でこのSS、最終回です!!
は……はあああ!?ちょ、嘘でしょ!?
全然嬉しいお知らせじゃないじゃんか!!
よっしゃー!!
……よ、よかった……。
……どうしてこの3人は喜んでいるのかな?
そうだよ、みんな酷いよ!
頼と春に会わなくて済むからに決まってんだろ……!
やっと解放される……!
え、そんなに嫌だったの?
僕はこの会、結構お気に入りだったけどな。
……つーか、なんでこのタイミングで終わりにできたんだ?
僕が施設側に申請したんだよ。
時間の無駄だから終わりにしたいって。
……お前、可愛い顔して、結構残酷だよな。
いっくん、酷いよ……そんなに俺と会いたくないの?
え、会いたくないよ。当たり前じゃん。
っ……!?
お母さんはそんな事を言う子に育てた覚えはありません!
いや、春くんに育てられた覚えないし……。
あーあ。せっかく定期的に暇がつぶせると思ったのにな。残念。
お前の暇つぶしのせいで、俺らがどれだけ犠牲になったと思ってんだよ!
いいじゃない。なんだかんだ楽しかったでしょ?
むしろ、恐怖しかなかったよ……。
寂しいなぁ。皆に会うの楽しみだったのに……。
まーた頼ちゃんにしか会わない生活に戻るのか。
いや、別に俺達とだって、普通に顔あわせてるだろ。
とかいって連ちゃん、廊下で会ってもすぐ逃げていくクセに!
お前が、話なげーからだよ!
むー。だって楽しいからいっぱいお喋りしたくなっちゃうんだもーん。
大丈夫だよ、春。
明日からはまた僕が相手になってあげるから。
う…………嫌な予感しかしないのはなんでだろ……。
頼くん、目が全然笑ってない……こわい……。
……お前、まさか今日もやらかす気じゃねーだろうな。
うーん、まあ最終回だからね。
今日くらい大人しくしておいてあげようかな。
なんで上からなんだよ、腹立つな……!
有終の美って奴だよ。
今日だけ大人しくしようと、てめーが今までやってきたことはチャラにはならねーぞ!
そうだそうだ!
いや、春くんはそれ言える立場じゃないから……!
ふふ、言われてるよ、春。
もう~景ちゃんまで最近俺に冷たい……。
え、そ、そんなことないよ!
春くんの事は好きだよ!
僕のことは?
え…………。
僕のことは、どうなの?
す……好きです。
だよね?さすが景ちゃん。
いや、言わせただけだろ!!
……ふふ、まあいいじゃない。能力使わないだけ、ありがたいと思ってよ。
おい、コイツ最低すぎだろ……。
そんなん、今に始まったことじゃないよ。
はーるー?お仕置きされたいのかな?
ああああ!
ごめんごめん嘘!嘘だから!
…………。
……ん?郁、どうしたの?
ぼーっと皆のこと見て。
いや……あーだこーだ言いつつも、僕達って仲いいなと思ってさ。
そりゃ、生まれた時から一緒だからね~。
……伊達に幼馴染やってねーからな。
でも……なんだかんだ、俺、みんなのこと好きだよ。
まぁ、6人で一緒に被験体にもなっちゃったしね。
そういえば、昔から、何をするにも6人一緒だったな~。
学校行くのも、遊ぶのも、テスト勉強も、ぜーんぶな。
……ま、腐れ縁ってやつだろ。
そう思うと……ちょっとこの会がなくなるのは、寂しいかも……。
……確かに、ちょっとだけ……そんな気もすんな。
大丈夫だよ。
え?
ほら、この紙をみてごらん。
なにこれ?
えーと……『御門頼の特別講座開設決定』……?
よ、頼くん、なにこれ!?
施設側に申請したら、審査通っちゃった。
は!?
そもそもなんの講座だよ!?
それは参加してからのお楽しみでしょう?
誰も参加しねーだろ……。
ふふ、れんれん甘いなー。
っ!?
待って、みんなここ見て!
……『受講者は施設側で選定しました』……?
おい、これ俺ら5人の名前が書いてあるじゃねーか!!?
なっ………!?ま、まさか頼ちゃん……。
ふふ、これからまた6人で会えるよ。だから、もう寂しがらなくて大丈夫。
あ、ちなみにこれ受講者になった人は強制参加だから。
参加しないと……どうなるかわかってるよね?
…………っ!

――頼からは逃げられない、5人なのでした。

終わり