天空諸島・セレスターラ王国。
マーシェル家の三兄妹、セージュ・イリヤ・カトレア。
それは、カトレアの十四歳の誕生日のことだった。
プレゼントに『リプアラ』の花が欲しいとねだられ、イリヤはカトレアと共に裏の花園へと足を踏み入れる。
『リプアラ』とは、人に幻想を見せる魔の花。
とある少女が姿を変えたという伝説をもつ蒼い花。
イリヤが一輪だけ咲いていたリプアラを摘んだ瞬間、辺りが暗くなり、彼は頭の中で自分の声を聞いた。
「―お前は何も守れない、何も愛せない。ただの人形だろう？ イリヤ」
曖昧でぼやけた記憶の中。
深夜、セージュの声に呼ばれてイリヤが我にかえると、傍らでカトレアが意識を失っていた。
＊
七日が経っても、カトレアは眠り続けていた。
あの夜から、リプアラがもたらす幻想に囚われたままだという。
イリヤはカトレアを花園へ連れ出した責任を感じていた。
そして、父とセージュから家を出るよう命じられたイリヤは、雨の降る中、独りで再びリプアラの花園へ訪れる。
カトレアを救うため、自分に何ができるのか。
夢の中で出逢った少女と自分の言葉を回想しながら、イリヤは一人思い悩み、そして―
蒼い花の幻想世界で、少女は微笑む。
―わたしの光に映るのは、あなたの中の世界そのもの―
マーシェル家の三兄妹、セージュ・イリヤ・カトレア。
それは、カトレアの十四歳の誕生日のことだった。
プレゼントに『リプアラ』の花が欲しいとねだられ、イリヤはカトレアと共に裏の花園へと足を踏み入れる。
『リプアラ』とは、人に幻想を見せる魔の花。
とある少女が姿を変えたという伝説をもつ蒼い花。
イリヤが一輪だけ咲いていたリプアラを摘んだ瞬間、辺りが暗くなり、彼は頭の中で自分の声を聞いた。
「―お前は何も守れない、何も愛せない。ただの人形だろう？ イリヤ」
曖昧でぼやけた記憶の中。
深夜、セージュの声に呼ばれてイリヤが我にかえると、傍らでカトレアが意識を失っていた。
＊
七日が経っても、カトレアは眠り続けていた。
あの夜から、リプアラがもたらす幻想に囚われたままだという。
イリヤはカトレアを花園へ連れ出した責任を感じていた。
そして、父とセージュから家を出るよう命じられたイリヤは、雨の降る中、独りで再びリプアラの花園へ訪れる。
カトレアを救うため、自分に何ができるのか。
夢の中で出逢った少女と自分の言葉を回想しながら、イリヤは一人思い悩み、そして―
蒼い花の幻想世界で、少女は微笑む。
―わたしの光に映るのは、あなたの中の世界そのもの―
後妻にあたる母の連れ子で、控えめな性格。
兄と妹に遠慮し、自分から「欲しい」と言えずに育ってきた。
外に出ると雨が降ることが多いため、雨男と呼ばれることも。
セレスターラ王国の士官予科生である。
Vocal：Annabel
マーシェル家の長男。マーシェル商店の後継者。
何でもそつなくこなし、父の信頼も厚い。
妹カトレアを溺愛しているが、弟イリヤに対しては複雑な感情を抱いている。
マーシェル家の末っ子。
家族全てに愛されてのびのびと育つ。
読書と物語を書くことが好きで、表に出ることはあまりない。
兄イリヤにささやかな恋心を抱きながら、今は屋敷のベッドで深い眠りについている。
Vocal：霜月はるか
正規ではない「隠れ」の魔術士。
リプアラの幻想に囚われた患者を現実に呼び戻す「回帰術」を扱う。
自分のことに関してはだらしがないが、性格はさっぱりしている。
Vocal:織田かおり
アリエスの弟子。アリエスに借りがあり、旅について回っている。
王侯貴族や金持ちを嫌い、民衆の苦労話やお涙頂戴話に弱い。
だらしのないアリエスの世話を焼くのが趣味で生き甲斐。
セレスターラにしか咲かない魔花。
花になったという伝説をもつ少女の名前でもある。
概念的な存在で幻想世界の象徴だが、 歌で幻想世界に誘う花の魔女とも恐れられており、存在は謎に包まれている。
Vocal:霜月はるか
幻想世界の中で出逢うイリヤ。
カトレアの理想に忠実。
Vocal：Annabel